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複数スポーツのススメ

みなさんは、どのようなスポーツキャリアをお持ちだろう。
私は、父の影響で幼少時からバスケットボールに親しみ、小学校ではバドミントンと
テニスをかじった。町内会の取り組みで、週末はソフトボールチームを結成して
試合もしていた。中学でバレーボール部に入部したため、その他の
スポーツはすべてやめてしまった。
高校では、身長が低くてレギュラーになれないバレーを諦め、校内マラソン
大会で一番だった可能性に賭け、陸上競技部に入部し長距離走を専門種目とした。
私の場合、高校から始めたスポーツが運良く自分の特性にマッチしたが、
通常は中学で選択したスポーツが専門種目になることが多い。

 

諸外国の子ども達は、季節(シーズン)に応じてスポーツを楽しむ。
春は陸上、野球、ラクロス、夏は水泳、秋はサッカー、フットボール、冬はスキー、
スケート、バスケットボールと、季節ごとに異なるスポーツを約2~3ヶ月間、経験する。
部活が始まる中学や高校でも、シーズン毎に複数の部活を掛け持ちするのが
当たり前。多くのスポーツに出会い、好きなスポーツや得意なスポーツを
選択できるわけだ。

 

日本の場合、スポーツとの出会いは育った環境と家族や友達が大きく影響する。
そして何か一つのスポーツを始めたら、シーズンに関係なく一年中それを練習する。
体操のアテネ五輪金メダリスト冨田洋之さん、競泳のソウル五輪金メダリスト
鈴木大地さんは、幼少期からこの種目に取り組み大成した。
早くに専門種目を絞り込み、集中して一流を目指す一点集中型が主流となっている。

しかし、陸上選手の中には、トライアスロンに転向したり、冬季だけ
ボブスレーに取り組んだりしてオリンピックに出場した選手もいる。
また最近では、他競技から転向した女性アスリート達が、新設種目の女子7人制
ラグビーで2016年のリオデジャネイロ五輪出場を目指している。

少子化が進む日本が、国際的に活躍するアスリートを発掘•輩出するには、
子ども達を一つの競技に縛るのではなく、幼少期から高校までに複数のスポーツを
経験させながら、個々の特性に合ったスポーツに傾倒させたり、シーズンの違う
スポーツの掛け持ちを推奨したりしなければ、その未来はない。

 

スポーツが自分を選ぶのではなく、自分がスポーツを選べるような仕組みを
作るべきではないだろうか。

 

コラム「ママは監督」2013年7月2日 毎日新聞 夕刊掲載分

2013-07-02
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