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「日本の女性スポーツが発展しないワケ」

女性アスリートの活躍がめざましい昨今、アテネ五輪に出場する日本の女子選手数が史上初めて男子を上回る見込みとなった。陸上競技こそまだまだ男性上位であるが(競技力や指導者等)、いまやスポーツ界は男女平等どころか、女性上位になりつつある。
そんな折、俗悪極まりない某週刊誌「FL○SH」において、”女性選手達のお尻特集”なる、くだらないにもほどがある写真が掲載された。しかも、舞台は五輪最終選考会である日本選手権だ。
夢のオリンピックを目指した真剣勝負を汚す、許し難い行為としか言いようがない。
「表現の自由」と言われればそれまでかも知れないが、スポーツの”本質”をゆがめ、セックスアピールとして扱った、日本のマスコミの時代遅れのレベルの低さにはがっかりだ。
古代オリンピックから近代オリンピックにおいて、さまざまな差別から女性の進出が遅れた。「女性たるもの肌を露出し、汗をかくなどはしたない!」という風潮が根強くあったからだ。
イスラム圏等は、いまだに女性が肌を見せることに抵抗がある人もいるようであるが徐々に女性だけが巻いている大きなスカーフ(トゥドゥン)を外し、スポーツへの参加もみられるようになった。
日本では今日までジェンダーやセクハラ等の女性蔑視について、遅ればせながら取り組むようになったため、今日の女性スポーツの発展(アテネ代表女子選手の増員)につながっているのだと思う。
なのにこれだ!影響力のあるマスメディアがこんなことでは、日本の女性スポーツの発展は足踏みだ。
残念ながら、この「FL○SH」のカメラマンには、鍛えられ洗練された女性スポーツ選手の美しい筋肉や表情を撮るだけの、感性や技術を持たない素人であったのだろう。
しかし、このちっぽけでしょうもない記事のおかげで、日本が誇るすばらしい女性陸上競技選手達がストレスを感じることになってしまったのだから、その責任は重大である。

先日、ミズノで筋肉の負担を11%軽減させるユニフォームが開発されたニュースがあったが、アスリートは自分のパフォーマンスを少しでも良くなることならば、ドーピング以外なんでも貪欲に求めるものだ。
特に女性は男性と違い胸があり、月経があり、髪が長い。
それがパフォーマンスに支障とならないようにウェアーを工夫し、トレーニングを考慮している。
しかし、実際のトレーニング現場ではそんな配慮は微塵も感じることはないはずだ。
女性であろうと、髪を振り乱し、鼻水や涙を流しながら極限まで自分を追い込む。
勝負の世界に男も女もないのだ。
スポーツをしているその瞬間は、戦争も内紛も差別もなく、自分の可能性に挑戦できる。
それがスポーツなのだ。
今回の記事に対して、陸連等で何らかの抗議をしてくれるとは思うが、まだまだ日本はスポーツ後進国なんだな~と悲しい気持ちになってしまった。
スポーツを愛し、真剣に取り組んでいる女性アスリートの皆さん、頑張りましょう!

2004-06-16
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