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「人ごとだから言えること PART②」~2004大阪国際女子マラソン~

いち視聴者として、いち長距離ファンとして大阪国際女子マラソンをワクワクして観戦した。

先週北九州選抜女子駅伝のラジオ解説をさせていただいたときに、2区でゴボウ抜きをした天満屋の坂本選手を見て「これは強い!」と感じていた。その時はアメリカでの高地トレーニングから戻ったばかりということだったが、調整が上手くいっているのが見て取れた。
そして昨日、あっさりと坂本選手が優勝を決めてくれた。すばらしいレースだったと思う。
しかし、他の選手の調整はイマイチだったのか、予想以上に振るわなかった感は拭えない。
選手は、夢や目標がなければ、長くツライ練習なんて乗り切れないものである。昨日大阪国際女子マラソンを走った選手達は皆、並々ならぬ努力を重ねてきたに違いない。しかしその努力の過程の中で大切なのは、走行距離や練習内容ではなく、”自分の意志”なのである。「自分は誰のために、何のために走るのか?」という気持ちを抱くようになったら絶対に結果は出ない。『自分のため』に走っている人は、例え先頭集団から離れ、優勝の可能性がなくなったとしても、最後まで諦めずに走れるけれど、心の迷いがある人は戦意喪失してしまうものなのだ。
今回の大会後、「タイムが悪い」とか「選考レースが低速になったのは陸連がペースメーカーを付けないからだ!」とかいろんな世論が巻き起こっているようだが、私はオリンピックの選考レースとしては何ら問題なかったと思う。
なぜなら、選考基準として『走力』はもちろん重要視すべきだが、女子マラソンの場合、日本国民の大きな期待とプレッシャーがかかるオリンピックに耐えうる『精神力』を備えているかどうかだって大切な要素になるからだ。それは、およそ2時間半のレース展開を見れば一目瞭然である。
それに確かに選考レースのタイムは良くなかったかも知れないが、前回のオリンピックで金メダルを獲得し、去年の世界選手権では総合優勝(代表3人の順位で争われる)をした日本の女子マラソンが、なぜ今さらペースメーカーを付ける必要性があるのか??
(男子マラソンはそこまでに至っていないのだからペースメーカーを付けても良いと思うが)
もう一つ言わせてもらえば、夏のオリンピックで2時間20分を切る高速レースになる可能性は極めて少ないだろうし、オリンピックはタイムを競う大会ではなく、金メダルを争う大会なのだから、”勝負強さ”で選考すべきだと私は思う。
残る選考レースはあと1つ。誰が代表になるかはまだまだわからないが、心身共に強い選手が日の丸を付けてアテネを駆け抜けてほしい。

2004-01-26
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