「日の丸の力」
いよいよ今日から学生のオリンピック・ユニバーシアードテグ大会開催され、
8月23日からは世界陸上が始まる。アテネオリンピックを来年に控えた今年は、あらゆる
スポーツ種目において世界選手権ラッシュである。
先日世界に一番近い大学と言われている(いわゆる成田空港に近いだけなんだけど・・・)我が順天堂大学で、ユニバーシアード日本代表選手諸君が出発直前合宿を行った。
私は、男子選手だけだし、正直言って学生界の男子選手は名前も顔もよくわからないので何とはなしに眺めていたのだが、気取らず、おごらず、マイペースで淡々と練習している中に、ピーンとした緊張感も漂うとても良い雰囲気を感じた。
練習の雰囲気は試合での成功の鍵を握る。ここ数年、順大グランドはこのような空気に包まれていないので、余計にそう感じたのかも知れない。
やはり、日本代表に選ばれるだけのことはある!と思わされた。
私も何回か日本代表を経験させてもらったが、1991年の横浜国際女子駅伝は思い出深い。
足の付け根が痛くて全然走れない状態で選手村に入った私は、当然補欠を希望したのだが、当時の大阪国際女子マラソンで活躍した有森裕子さんが『マラソン後故障で走れない・・・』とのこと。そこで泣く泣く私が選手となった。
前日と当日に大きな注射を打っての出場。しかもアンカーという大役で夜も眠れなかった。
しかし、日の丸を付ける以上ヘタな走りはできない。足がへし折れてもいいからゴールしよう!と心に決めてスタートした。タスキをもらった時点では3位。しかしすぐ背後からロシアが迫ってきていて、1kもしないうちに追いつかれてしまった。”ここで離れてなるものか!”と必死に食らいつくも、途中で力尽きJAPANチームは4位という成績であった。
足は痛いし、抜かれるしで、ガックリ落ち込んだが、ひとまずゴールできてホッとしていた私に関係者が駆け寄ってきて、「スゴイことするな~。エゴロワ選手と併走するなんて!たいしたもんだっ!」と言われた。
エゴロワ選手?全然知らなかったのは私だけだったらしい。彼女は当時の3000mの世界記録保持者でロシアのエースとのこと。”知らぬがホトケ”ではなく、たぶん私は知っていても併走していただろう。足が痛くとも、自己記録を上回るタイムでエゴロワと併走できたのは、まさにこれこそ『日の丸パワー』なのだ。
どんな時代でも、日本代表に選ばれるには、人一倍の努力が必要である。その努力が実り、胸に「日の丸」を輝かせることができた瞬間、喜びと何ともいえないプレッシャーを感じる。
それこそが真の”誇り”だと私は思う。
努力して勝ち取った「日の丸」は重りになることはない。”誇り”を持っていれば必ず味方になってくれる。思わぬ力を授けてくれるものだと私は信じている。
ユニバーシアードに世界選手権、日の丸を付けた誇り高い選手の皆さんが、日の丸パワーで大活躍してくれることを心より期待している。